楽音活事業が日経新聞に掲載されました。

日本経済新聞(夕刊)2025年(令和7年)7月2日(水)

物忘れや運動不足 音楽で楽しく改善

60代女性です。学生時代は合唱団にいたこともあり、音楽を楽しむことが好きです。息子も独り立ちして、自由に過ごす時間が増えたので、新しく何か始めたいと思っていました。最近は物忘れや運動不足が気になります。趣味の音楽で解消できたらいいですね。

年齢を重ねると、認知機能の低下や心身が衰える「フレイル(虚弱)」が進行しやすくなる。高齢化で注目が集まる介護予防に、音楽を活用する取り組みが広がっている。認知症などの治療でも使われる音楽療法のテクニックを応用して、シニア世代の健康増進を後押しする。

同プログラムを手掛けるのは、福岡でヤマハ音楽教室を開くフカノ楽器店(福岡市)。講師が、舌や喉仏を動かす口腔(こうくう)運動、歌唱、楽器演奏、簡単なエクササイズといった1時間半の講習を行う。

特徴は、音楽を楽しむだけでなく、介護予防につながる工夫を凝らしていることだ。口腔体操では、パ・タ・カ・ラの4文字を発声して、口や舌の筋肉を鍛える。歌唱では童謡や昭和歌謡を選び、過去の思い出を想起させる「回想法」を用いて脳の活性化を促す。

楽器店がプログラムを手掛ける。「どんどん手繰り寄せて」「がんばれ、がんばれ」と声をかけ、あちこちで笑いがこぼれる。運動会のように、なじみの曲に合わせて懸命にタオルを手繰り寄せる。

ひときわ教室がにぎわったのは、タオルを使ったエクササイズ。アップテンポな曲調に合わせて手や足の指でタオルを手繰り寄せたり、タオルをボール状にして玉入れのようにかごに投げ入れるなど、簡単な運動を取り入れる。

6月初旬、福岡県筑紫野市の「若葉中原公民館」で開かれたのは「楽音生活プログラム」。この日は朝10時から、70~90代の20人近くが参加した。

音楽療法とは、音楽を通じて心や体の健康増進などにつなげる手法。認知症やパーキンソン病の治療などで役立てる例もある。

音楽鑑賞や歌唱にはリラックス効果があり、童謡などで記憶を想起する。楽器演奏は脳の血行促進や手指の運動につながり、集団演奏で社会性の発達も期待できる。音楽に合わせた軽い運動は筋力向上やストレス解消、リズムに乗ることで脳への刺激にもなる。

介護が必要な人は増加している。厚生労働省の介護保険事業状況報告などによると、要介護・要支援認定者数は年々増えており、2024年度は約700万人規模となった。

このプログラムにはリピーターも多い。2024年度には福岡・佐賀の両県で実施された。

33自治体に採用され、計1465教室を開催。参加者数は延べ4万人を超えた。フランチャイズ(FC)方式で関東や関西などへの展開も強化していくという。

若葉原公民館での開催も今回で30回目となった。期待の声を受け、約半年ぶりに開催した。当日参加した伊藤一鶴子さん(73)は「とにかく楽しくてあっという間だった」と笑った。